姉が想い出になった日

 

 

姉が星になりました。

享年67歳でした。

僕と姉は父親違いでしたが、たった一人の、とても大切な姉でした。

 

 

 

容体悪化の一報を受けて駆けつけましたが、時すでに遅しでした。

穏やかな顔で眠る姉を見て、嗚咽し、涙がとめどなく、いつまでもいつまでも流れ落ちました。

安らかに眠る姉の胸元には、家内が作ったトトロの人形がありました。

この人形を、寝巻きと胸元の間に挟んで、片時も離すことがなかったそうです。

 

 

 

家に戻り書斎に入ると、その変化にすぐに気が付きました。

書斎の机の前に飾ってるポートレートが、一枚だけ落ちていました。

何かの力を加えない限り、まず落ちることのないポートレートが、机の上に落ちていました。

わかりました。

お姉ちゃん、お別れの挨拶に来てくれたんだね。

 

 

 

棺の中で、花に埋もれながら、穏やかな顔で眠る姉。

最後に掛けられたのは、お気に入りのグレンチェックのワンピース、そして大きな麦藁帽子。

とっても姉らしい装いで、帰らぬ旅に出ました。

お姉ちゃん、ゆっくりね、安らかにね。

今まで、ありがとう。本当に、ありがとう。

絞り出すような声で、最後のお別れをしました。

 

 

 

嫁ぎ先の宗派から頂いた戒名。

我が家の位牌に新しく加わりました。

これからは想い出のなかでしか、会うことができなくなってしまった姉。

供養とは誠を尽くすこと、決して忘れないこと。