もう秋。。。そしてイタリアン

 

 

暑かった夏も遠ざかり、気がつけば秋

あれほど暑かった今年の夏。

残暑もありますが、気がつけば空の色と風の肌触りは秋です。

バルコニーの草花も、盛夏の頃とは違った息づかいで花を咲かせているのがわかります。

日一日と、夜の帳が下りる時間が目に見えて早まっているのもわかります。

いつも秋は駆け足で過ぎていきますが、今年の秋はどうなんでしょうね。

 

 

 

秋食材のイタリアン

少し早いですが、秋食材のイタリアンを楽しみたくて、いつもの我が家の定番イタリアンに、babarinaと二人で出かけてきました。

今回の手打ちパスタは、タリアテッレ、トロフィエ、安納芋のニョッキの三種類。

各々、北海道産秋刀魚と焼茄子、インゲンとズッキーニのペスト・ジェノベーゼ、それにオーストラリア産ソルトブッシュラムと栗のラグーと、どれも楽しみの料理法です。

しかし、メニューには使い料金でどれか一皿をイタリア産フレッシュポルチーニのタリアテッレに変更可能とのアナウンスが。。。

う〜〜ん、あまりに厳しい選択>_<

と悩んでいると、ウエイターが皿変更なしで4皿目として出してもらえるかをシェフに訪ねてくれ、シェフが快諾^ ^

いやはや、なんとも有難うございます^ ^ 気分はウキウキ^ ^

そんなこともあり、今回は定番のパンからグリッシーニがなくなって二種類になっていることにも、気にしない気にしない(笑)

 

 

 

アンティパストミストは、いつも通りの五種類です。

下から真鯛カルパッチョは茗荷ソースというジャポネーゼな一品。で、これがまた合う^ ^

イチジクとプロシュートはトリュフ風味の説明が。多分、トリュフ塩がかけられているのでしょう。今回のプロシュートは風味としては生ハムよりも熟成の短いロースハムのような口当たりで、塩分がそれほど強くなく美味でした。

茄子と胡麻鯖、モッツアレラチーズの重ね焼きは、勿論初めて口にするもの。

焼いた鯖と茄子の食感がどこか似ていて、 それをチーズが纏め上げている味わい深い一品でした。

柿とかぶらと牛の南蛮バルサミコソースという、とても想像のつかない取り合わせも、ここのシェフの手にかかると納得の料理に変わっちゃうんですね。

柿と蕪という違う個性が、牛の旨味とバスサミコの酸味、それに仄かな唐辛子の刺激でうまく纏まっていました。

最後は白インゲンとタコのマリネ。

細かく刻んだスッキーニ?胡瓜?が二つの素材の中間の歯触りで、面白い食感を演出していましたね。

いつものことながら感心、脱帽です。

 

 

 

パスタの一皿目は、北海道産秋刀魚と焼茄子のタリアテッレ。

でも、それはbabarinaに対してだけ。僕にはタリアテッレではなくガルガネッリで供してくれました。

このガルガネッリ、無知論初めて口にするものです。

簡単に言うと、タザニアを5cm四方の四角形に切り、それを一片の角から棒に巻きつけてペンネのような形にしたものでした。

このパスタが秋刀魚と焼茄子に絡んで、周りにすりおろされたペコリーノロマーノの塩分と相まって、ググッと秋刀魚の風味が前に出てきました。

それにしても。。。

追加で頼んだポルチーニのパスタででタリアテッレを使うからの心配りでしょう、ガルガネッリへの変更は。

でも、このホスピタリティ、なかなか出来るものじゃありません。

シェフはお料理上手だけじゃない、気配りも三つ星でした^ ^

 

 

 

この店のジェノベーゼには、前に頂いたコーンを使ったペスト・ジェノベーゼでノックアウトされている僕。

今回も期待がかなり高くなっていました。

パスタはトロフィエ、前回と一緒です。

今回ジェノベーゼに合わせるのは、インゲンとズッキーニ。やはり緑の野菜は相性がいいんでしょうね。

前回と同じく絶品のペスト・ジェノベーゼ

バジルのが濃いのにくどくなく、野菜の甘みも吸ったマイルドで爽やかなな風味が口の中いっぱいに広がりました。

本当に美味しゅうございました^ ^

 

 

 

異例の追加でお願いしたフレッシュポルチーニのタリアテッレです!

ポルチーニといえば、30、40代の頃は恵比寿にあるイル・ボッカローネに秋のポルチーニパルミジャーノのリゾット、プロシュートの盛り合わせを食べに行くのを楽しみにしていました。

フレッシュポルチーニ。。。思えばとても久しぶりです^ ^

サーブされたプレートにはタリアテッレに絡んだ刻まれた生のポルチーニ

食べる前にまず香り。。。もう少し強ければ尚良かったのですが、確かにこの香りはポルチーニ。椎茸でも松茸でもない独特の香りです。

口に入れると手打ちパスタのモッチリ感とポルチーニの風味と香りが広がり至福のひと時でした。

何も言うことはありません。

ただ。。。個人の好悪でいえば、ポルチーニはパスタよりもリゾットの方が好き。。。です^ ^;;

 

 

 

ラギュラーメニュー最後のパスタは安納芋のニョッキ。

これに合わせたのがオーストラリア産ソルトブッシュラムというお初の食材と、栗を使ったラグー。

そしてここのラグーがまた旨い!

前に食したトスカーナ風ラグーで供されたピチでも、ジェノベーゼ同様ノックアウトを喰らっています。

今回も美味しかったですね〜。

ニョッキ自体が安納芋なので、その甘さをうまく引き出すように使ったのでしょう、天然ミネラル豊富なラム肉の頂点のソルトブッシュラムは。

安納芋の少し柔らかめの甘さと、栗の硬めの甘さにラムの旨味が滲んでいて、味覚の深いところに響く味でした。

 

 

 

セカンドペッシェは真鯛のムニエル 香草バターです。

ここの魚料理全般にいえることは、その塩加減、つまり塩梅の妙です。

これ以上にしたら強すぎて塩の味が勝る、というギリギリの食材本来の味を引き出す塩加減が絶妙です。浸透圧も考えて、焼き始める前に塩を打つ時間も食材ごとに変えているのでしょうが、天才的な才能ですね。

そんなシェフの手にかかった今回の真鯛も塩加減が絶品^ ^

ハーブバターのソースが添えられていましたが、不要と思えるベストな塩加減でした。

いつもながら本当美味しかったです^ ^

 

 

 

セカンドカルネの肉料理は、前回同様葡萄牛。

前回はステーキでしたが、今回はローストビーフのような仕上げ。

魚料理で塩加減に驚かされると、肉料理では火加減、焼き加減です。

しっかり火の通りが欲しい豚でも、焼き加減の自由度が高い牛でも、いつもその仕上げに目を奪われます。

今回も真ん中がほんのり赤く、そこからグラディエーションをかけたように綺麗に焼きあがっている様がわかります。

この火の通りですから、食材ごと、調理法ごとの食感がとてもいいのです。

更にソースはタスマニア産のスブマスタード

柔らかい刺激と軽い酸味が、ビーフにとても良くマッチしていました。

 

 

 

ドルチェも抜かりがないのが、この店の特徴です。

今回の驚きは梅とミントのグラニテ、丸い容器に入った一品です。

これがとかく薄まりやすい梅の風味が、結構な存在感を示していて、まあ美味しい。隠し味?隠し風味?のミントもいい感じで仕事をしてました。

あとは洋ナシのコンフォートと何かのタルト(笑)と、茶色で甘い何か(爆)

これに常に及第点のマシン入れのコーヒーです。

 

 

 

気が付いたこと

この店に通うようになってから、かれこれ10回ぐらいになってでしょうか。

今になって気がついたことがあります。

イタリアンを作る上で欠くことのできない食材といえば結構ありますが、中でもベスト5といえば、オリーブオイル、ニンニク、トマト、赤唐辛子、チーズといった顔ぶれじゃないでしょうか。

僕自身がキッチンに立ち、いざイタリアンとなると、まずこれらの食材は必ず必要です。

でも、よく思い返してみると、この店のイタリアンで、ニンニク、トマト、赤唐辛子の存在をあまり感じたことがありません。

更にいえば、オリーブオイルも使用量は必要最小限なような気がします。

僕もやりませんが、他のイタリア料理店で見かける仕上げにEXオリーブオイルを回しかけるなど、お目にかかったことがありません。

チーズもパルミジャーノ始め数種類使っているのは確認済みですが、大量にかけるという仕上げを見たことがありません。

アンティパストからパスタ、ペッシェ、カルネまで極力素材の味を引き出す料理法なのです。

ですからチーズたっぷりとか、ニンニクが効いたとか、赤唐辛子の刺激がとか、トマトの酸味がという形容詞が最初に来ることがないのです。

だからでしょう、いつもさっぱりしてるのです、なのに味に奥行きを感じます。

このことが他のイタリアンにはない、この店の強みで特徴であることに気がつきました。

イタリアンなのに、どこか和食の会席でも食した後のような気分と胃の状態はここから来るんですね。

パリの友人のシェフが熱を持って取り組んでいる、素材第一主義の調理法にも相通じるものがあるように思えました。