フレンチとイタリアンと友人



 

遠方より友人来る

昨年パリに住む友人が日本に里帰りした際、我が家に顔を出してくれました。

その時はあと二、三年は日本に戻ってこれないだろうとのことでした。

 

ところが。。。LINEで連絡がありました、日本に戻ります、会いたいですね!と。

 

そこで日程を確認してみると、彼が日本にいた当時お世話になった自由が丘のレストランで二日間だけシェフとして厨房に立つらしく、その日がたまたま上野広小路亭で寄席を楽しもうと予約していた日と被ったのです>_<

 

行こうと思えば末廣亭はいつだって行けます。でも友人の料理はパリに戻ってしまうと、僕がパリまで出かけないとありつけません。

ということで末廣亭のほうにお断りを入れました。

 

 

 

Google4.5評価のフレンチ

詳しいことはわかりませんが、料理人の世界は数年ごとに店を変えてキャリアを積むのことが自分のキャリアアップにつながるようです。

彼もメジャーなレストラングループのフレンチを皮切りに渡仏、帰国してからは都内で最も有名なスペイン料理店、そしてまた渡仏、次の帰国時にはフレンチの世界では名の通ったシェフの独立開業のお手伝いで自由が丘の店にというキャリアです。

 

この自由が丘のフレンチレストランは評価の信憑性が高いといわれるGoogleで4.5。

実際僕がその情報を信頼しているブロガーの評価もかなり高く、なんと開店前からシェフの名前で間違いなしの太鼓判を押していました。

 

 

 

彼が渡仏する前の三年前かな?には夫婦で、家族四人でと何回か通った自由が丘のフレンチ。

でも彼が日本を去ってからはご無沙汰でしたので、とてもなつかh市区感じました。

 

予約時間に伺うと彼が厨房から出てきて握手して再会を祝しました。

オーナーと奥さんも覚えていてくれて再訪をとても喜んでくれました。そんな嬉しい雰囲気の中ランチメニューがスタートしました。

 

今回の最大の驚きはこの前菜でした。

トウモロコシのムースの下に隠れてるのはフォアグラで、そこにカカオが添えられた一皿。

 

トウモロコシはお気に入りのリストランテでもよく使われるメニューですし、ご贔屓の料亭でも使います。

しかしこの上品でクリーミーなムースには腰が抜けそうになりました。

純粋なトウモロコシの甘さをマイルドにしているのは生クリームでしょうが、それをエスプーマーで軽く仕上げたからこその美味しさだったと思います。

 

このムースに包まれたフォアグラは、まるでフォアグラとは思えないマイルドで上品な風味となり、あまりにスィートな味がカカオで軽く締まるという計算され尽くした一皿でした。

 

いや~、久しぶりに美味しさで腰が抜けそうという表現を使った気がします。

 

 

 

この一皿はどうも彼からのサービス品の鰹のグリエ、要は洋風のたたきです。

 

クミンと人参、菊の花のサラダでアレンジされた一皿は、鰹の素材の旨味をうまく引き出していました。

厚みも十分な鰹は食べ応え、噛み応えもよく美味しかったです。

 

 

 

二種類の魚料理の一つは、何度か口にしている明石のタコと白身魚のパイ包み焼き。

イタリアンではパイ包みの手法がないので新鮮です。添えられてるソースは二種類で赤ワインとオランデーズソース。

 

いつもながらの安定の味、お馴染みの味で美味しかったです。

 

もう一方はスズキのポアレをモロヘイヤのソースで。

モロヘイヤソースの出汁はアサリのようで、スープの中に身が入っていました。

 

特筆すべきはポアレ具合と食感の良さで、跳ね返すような弾力のあるスズキの身と、まんべんなくポアレされた表面変化です。

ただ残念だったのはソースの塩分。いくら何でも強すぎです。

 

友人の手前、しっかりとパンを使ってソースも綺麗に頂きましたが、ちょっとあの塩味はいただけなかったですね。

 

 

 

肉料理は定番の牛ほほ肉の赤ワイン煮込みと鴨。

 

鴨のローストラタトゥイユ添えのソースはバルサミコ

お気に入りのイタリアンで供される鴨よりも全体的に火の通った鴨は、ちょっと火の入れすぎで旨味が少し飛んでる感じがしたとbabarina

確かにシェアしてもらった一口からは強い鴨感が感じなかったかも。。。

 

ただ牛ほほ肉の赤ワイン煮込みは前にもましてとろっとろふわふわで、肉料理と思えない食感に驚かされました。

味も前よりは強め?でしたがいうまでもなく合格圏内。

人参のピューレをつけて口に運ぶと、甘みが強くなりまた違った美味しさと出会うことが出来ました。

 

 

 

 

デザートは桃のコンポートに南国の花ハイビスカスのソースを添えたものとバニラアイス。

もう一つはマンゴーのシャーベットとブラマンジェ。

 

ハイビスカスのソースは初体験でしたが、桃の甘みと方向性の違う甘さが混じり、バニラのコクのある甘みもミックスされるとあまさのラビリンス?なんとも不思議で美味しい甘さの体験でした。

 

マシン淹れのコーヒーは可もなく不可もなく(笑)

 

 

 

確かにパリからの友人はずっと厨房にいましたが、どの料理をどれぐらい手を入れたかはわかりかねます。

 

ただ前菜のトウモロコシのクレマには本当に驚きました。

ここ数年で味覚で腰が抜けそうなほどの感動モノの一つでした。

 

彼が作った料理じゃないかな。。。

 

 

 

Google4.3評価のイタリアン

このリストランテ情報も自由が丘の店をブログで紹介してくれた信頼できるブロガーの情報に基づいたものでした。

 

多分初めて伺ったのは一昨年の早春。そこからの一年はほぼ毎月訪問したと思います。

何しろこの店のコンセプトが振るってます「料理で旅するイタリア旅行」

そして月毎にメニューが変わるコースにランチとなれば、その季節の旬の食材を使った食でのイタリア旅行を楽しみたくなるのが人情。

 

この僕の一番のお気に入りのイタリアンをパリの友人にも体験してもらい、その評価も尋ねてみたかったのです。

 

 

 

この日の三種類の手打ちパスタは、タリオリーニ、 ニョックリ、ガルガネッリ。

一見カサレッチェ?と見まごうニョックリは初めてかもです。

 

パンは定番の三種類で、これはパスタとペッシェ、カルネのソース用ですね。

 

友人曰く、パリのレストランや家庭料理でもパスタはよく使い、彼自身も大好きな食材との話。

 

 

 

いつもの五種類のアンティパスト。

軽いマリネのシマアジは暑いこの季節、優しく嬉しいテイストです。

 

右回りに茄子とミニトマトパルミジャーノ

茄子は焼いてからバルサミコ、オリーブオイル、塩で焼き煮詰めてから冷やしたものでしょうか、なんとも味わいのある一品。

 

クルミの入ったバゲットの上に乗ってるのは鶏レバ。臭みが全くなく濃厚でクリーミーでした。

 

イタリアンポテトサラダはマヨネーズに少量のニンニクとパルミジャーノが混じってるのでしょうか、やはりどこかイタリアンでした(笑)

 

ここではアンティパストに関しても同じものがほぼ出ないのですが、パンとトリッパのサラダも初物です。

牛の胃袋のハチノスがトリッパですが、一般的にトマトソースで煮込むこの食材を、それ以外の手法で食べさせてもらったのも初めてです。

 

いつもながらすべてが美味しかったです。

パリの友人も同感のようで、美味しいを連発していました。

 

 

 

一皿目のプリモピアットは青森県産丸ガニと枝豆のタリオリーニでしたが、カニの旨味、エキス、香りのパスタへの乗り移り度合、浸透感が半端ない!

まるでパスタ自体に丸ガニの身を練りこんだみたいです。

 

まあBuono

パリの友人の度肝を抜くには必要にして十分なインパクトです。

 

論より証拠、僕もbabarinaも、そして彼もパンを使ってソースをそれはそれは綺麗に食べきってました。

 

 

 

初物のニョックリは鰯とパプリカを使ってプッタネスカビアンカで。

 

プッタネスカビアンカとは?と思っていると、この娼婦風はアンチョビ、ケッパー、ブラックオーブの定番食材に最後のトマトソースを抜いて作った白いプッタネスカということで、ビアンカですとの説明にな~るほど。

 

もっちもちのニョックリにプッタネスカの必須食材独特の酸味と塩味を吸った鰯がいい感じでした。

バラバラになりそうな味がうまく一まとめにされる手法に脱帽です。

 

 

 

最後の一皿のガルガネッリサマートリュフを散らされたラグーで供されました。

 

ボローニャ州が認めてる正当なボロネーゼのような、適度な酸味と深い旨味が融合されたラグーは絶品。それが絡んだガルガネッリはトリュフの香りを纏って絶品。

 

パリの友人もラグーの美味しさと惜しげもなく使われたトリュフに驚きを隠せませんでした。

 

 

 

ペッシェは千葉県産スズキのロースト トウモロコシのクレマ添えでした。

これはパリの友人が自由が丘の店でランチの際に厨房に入った時のメニューと被ります。

 

ここのイタリアンでは皮目をパリッパリに身をジューシーに仕上げてますが、自由が丘のフレンチでは皮を剥いで全体を軽く揚げるような感じで水分を飛ばしてました。

好みの分かれるところですが、僕は焼き物はメイラード反応部分が好みなので、この店の手法に一票でした。

 

ただ、残念ながらクレマは自由が丘のフレンチで決まりです。

何しろここ数年で腰が抜けそうなほど美味しかったものですから。

 

余談ですがパリの友人に訪ねたら、自由が丘の店のランチで唯一一から十まで彼一人で作ったプレートが、僕が腰を抜かしそうになったトウモロコシのクレマとカカオ、フォアグラの前菜だったそうです。

その話を聞いて俄然納得でした。

 

 

 

カルネも被りましたね、鴨のローストをバルサミコソースででした。

しかもシェフが現物をテーブルに持ってきての説明で、今回のバルサミコソースはアチェ―との25年物。期待で胸躍るですね。

 

自由が丘のフレンチでのそれと見比べてもらうとわかりますが、こちらのほうが俄然レア感が強いです。

一口口にすると鴨独特の旨味が口の中に広がりました。自慢のバルサミコソースも、その深みと口当たりの丸みが別物で、鴨肉との相性は言うまでもなし。

 

僕もbabarinaも断然こっちの鴨料理のほうが美味しいと感じました。

 

 

 

ドルチェも三品で絶品の西瓜のグラニテ、タルト、パンナコッタ。

 

スイーツ全般にも造詣の深いパリの友人曰く、西瓜のスイーツはとても難しいとのこと。

ここでもとても感心していました。

 

僕とbabarinaはコーヒーを、パリの友人はエスプレッソをお願いしましたが、そこについてる菓子に目が行った彼。

すかさずシェフに訪ねていたのですが、これはカントゥッチというビスコッティ(ビスケット)との回答。そういえば僕も同じ質問を過去にしてますね>_<

 

 

 

この素敵なリストランテと出会ってから約一年半、昨年まではほぼ月に一度のペースで絶品イタリアンを楽しませてもらっていました。

その間に気になっていたことが一つ、それはシェフのBarillaのエプロンの限界に近い劣化度合い。

 

そこで美味しい料理、素敵な時間に感謝して元アパレル関係夫妻でおニューのエプロンを作って差し上げることに~ ~

 

Barillaのエプロンがお気に入りなようなのでエプロン本体はそのデザインを踏襲してbabarinaが担当。せっかく作るのでロゴはBarillaではなく店名がいいでしょうとロゴデザインは僕。

 

二人の合作のエプロンをプレゼントしたところ、予想以上に喜んでくれてこっちもにっこり。

さらにこの日はオーナー夫人がウエイトレスを務めていたのですが彼女もとても気に入って、スタッフ全員分を発注したいとのこと。

商売ではないのですが5,6枚なら同じものを作れそうですから、先ずはその方向で進めてみることにしました。

 

 

 

自由が丘でパリの友人が作った前菜の一皿を、感動と共にいただけたのことのほか嬉しい出来事でした。

 

日を改めてbabarinaも交えて三人で、僕のお気に入りのイタリアンに出かけることが出来たのも一年越しの夢がかなった感じです。

僕のお気に入りのイタリアンへの彼の評価は、「これは事件」とのこと。

その意味合いにはコストパフォーマンスの高さも含みで、とにかく美味しいということ。特にパスタには文句のつけようがないとのことでした。

 

関心事は何に対しても貪欲な彼。我が家に戻ってからは僕の淹れる点滴ドリップを動画に納めていました。

またルーバルではハーブのそばに生えてる雑草が、実はオキサリスというフレンチでよく使う酸味のあるハーブであることを教えてもらいました。

 

三十歳前で娘達より若い彼は、今年の秋から画像右のVantreというGoogle4.5パリのレストランでシェフになるとの報告を受けました。

さらにその先の自分の仕事とプライベートの未来予想図話してくれて、いつものことながら留まることの話題であっという間に夜になりました。

 

彼のことは勝手に自分の息子の様に感じています。

今年の夏も日本に戻ってきてくれて、沢山の楽しい思い出を有難う。