2016年1月17日
仕事をしていると本当にたまに嬉し「予期せぬ出来事」が起きることがあります。
それがことプライベートに関わることであればより印象深いものになります。
昨年末から数年がかりのビル建設のプロジェクトの統括を命ぜられトップと会う機会が多くなったのですが、この日もその打ち合わせでした。
当日はトップがやや体調不良で長かった会議が数時間に短縮するとの連絡。
さらに会議の後、僕と二人で明治座の公演を観覧する予定だったようなのです。体調の関係でそれができなくなりいわれた言葉が、よかったら僕の家内と楽しんで来いとのこと‥
公演は16時からとのことなので言うまでもなく勤務中なのですがトップのお墨付き^ ^
家内に連絡してみみるとbabarinaからは「ハイ!Yes!と喜んで!」(笑)
そこで勤務時間中に大手を振って夫婦揃って明治座に出かけてきました。
こんな流れからbabarinaと明治座のある浜町で待ち合わせ。
途中ネットで演目を調べてみたら由紀さおりが初座長を務める特別講演とか‥
あれは僕が小学校の低学年?の頃じゃなかったかな。
流行り物新し物が大好きだったお洒落さんの母が紬姿に白の割烹着を着ながら、妙に少しこぶしの回ったこの歌を口ずさんでいたのを思い出します(笑)
打ち合わせ無しの急遽の待ち合わせだったので僕はスーツにメリノウールのステンカラーコート、baabrinaはフレアのロングスカートにボトルネックのニット、ムートンのレザーコートでの出で立ちとなりました。
こうなると僕もスーツよりもジャケットが良かったな^ ^;;
二部構成のこの特別講演。
一部では「あなたがいれば」という東京の下町 柳橋の料亭を舞台にした人情もののお芝居でした。
変わりゆく街の中で昔ながらの料亭をビルに建て替えるか否かの中で繰り広げられる女将と板前さんの揺れる恋心を中心に展開されるこの語りでしたが、何せ全編で由紀さおりはお着物姿。
自分が生まれてから中学、高校時代ぐらいまでをいやがおうにも思い出しました。
小、中学校の頃は今は死語の「住み込みの従業員」や婆やまでいて大所帯だった我が家。
そんな中炊事場では母が婆やと笑顔で店では従業員やお客様と話す。
この演目を見ていて広い家の中を衣摺れの音をさせながらせわしなく歩く母を思い出し少し涙ぐんでしまいました。
第二部は歌、そう懐かしい歌謡曲のオンパレードでした。
ゲストにマルシアを迎えて昭和歌謡のど定番を楽しませていただきました。
それにつけても由紀さおりはホント歌がうまい、いや実感です。
それと前々から感じていたこと、それは由紀さおりって独特の「間」と上品さ妙にミックスされて、独特の爽やかな色気があるなってこと。
何か意味ありげだけど不快じゃない、そして立ち居振る舞いがどことなく奥ゆかしい、そこから紡ぎ出されるお上品な色気は嫌いじゃなかったです。
夜明けのスキャットのレコードのジャケットに写ってる頃と今の顔にそんなに加齢の変化を感じません。
素敵な年の取り方をしてきているんだなと感じた次第。
実は年明け早々に僕の記憶にはないぐらいの本当に珍しくかなり深い夫婦仲違いが起きてました。
双方そうでしょうが今回は僕の心がかなり弱ったとの自覚があります。
ですから我が家には考えにくい少ない会話の重く淀んだ空気が漂っていたのです。
でもこの明治座の公演を共にすることでそこから抜け出すきっかけを頂いたような気がします。
このような状態をトップが知る由もありませんが、結果仲直りの機会を与えてくれたのは事実でなんとも不思議な感覚になりました。
やっぱり神様はいるのかな?(笑)
明治座のお食事は一部と二部の間の17時15分から。
さすがにこの入院中の晩御飯のような食事時間帯では食欲もわかないので、公演終了後に下町らしいものを探して近隣で比内地鶏の焼き鳥店の暖簾をくぐりました。
焼き鳥と親子丼で晩御飯にしたのですが、食事の間少しずつ会話も戻ってきました。
仲違いはまさしく認識の違いから起きること、どちらかの過失ではありません。
でも時に言葉は刃物以上の凶器です。
体も心も一瞬で傷つきます。
ただ体は自然治癒力で時間が経てば自然と治る方向に向いていきますが、心に自然治癒力はありません。
意思や思いを持って凍りついた心を温め治すしかないのです。
その妙薬は会話です。
まだまだ常温の心ではないですが会話を通して少しずつ元に戻していけたら‥
今は僕の人間力が試されているようです。