1970年後半から80年代前半 Trad三昧の日々

 

 

先日仕事で阿佐ヶ谷でランチとなりました。

食後多少時間があったので懐かしく阿佐ヶ谷パールセンターを歩いていてmen's shop KAWAMURAさんの前を通り過ぎました。

 

思い起こせば約35年前ぐらいに僕が営業担当で通わせていただいていた店です。

あまりに懐かしく思わず店頭で立ちすくんでしまいました。

 

あの頃は奥行きの深いとても大きな店舗だった記憶がありますが今見てみるとそうでもない。。。

 

あのIVY & Trad全盛の頃はとても勢いがあり結構な数のスタッフがいましたが、今は僕と同世代と思しき女性が一人で店番をしているようででした。川村さんのお嬢様なのかな?

 

時代の流れを痛感しました。

 

 

 

中学生の時に年の離れた「翔んでる姉貴」に渡されたVANの三文字の入ったトレーナーとbutton-downのシャツ。

あれから僕の中の人生の目標の一つがVAN Jacketに入社すること生涯IVY lookを続けることになったことを今でも覚えています。

 

しかしVAN Jacketは僕が大学時代に経営が立ち行かなくなり会社更生法を適用される会社になり一つの夢は消えました。

 

 

 

そのVANの凋落と重なるようにBoat House,BEAMS,SHIPS,Crewsのストアーブランドのロゴ入りトレーナーに火がつきました。

勿論僕はこの当時の四種の神器(笑)を全て持っていましたが手に入れるのには結構苦労した記憶があります>_<

 

特にBoat Houseは異常なまでの人気で僕の記憶が確かであれば店内への入店制限がかかった店で、当時の衣料品販売の坪あたり売上高の世界記録を樹立したと記憶しています。

 

たまたまほとんど使用していなかったBoat Houseのロゴの入ったキャンバス地のトートバックが数年前見つかったのですが、chojolyがそれを見て「カワイイ!」

今で彼女が使っています(笑)

 

 

 

VANは雰囲気作りの名手でした。

その独特の感性から生み出される翻訳機能を使って東海岸IVYスタイルでの名称を実にそれらしい造語で表現して定着させる技は類を見ないものだと思っています。

 

ちなみにこのトレーナー。

正式名称はスエットシャツです。しかしVANはこれを世にリリースするにあたりネーミングをトレーナーに変えました。

理由はボクシングのトレーナーがよく着ているシャツだから。

 

日本ではとうの昔に完全に市民権を得ているトレーナーという単語。

こういったVANの感性にはただただ脱帽です。

 

 

 

スイングトップといえばどこかで聞いたことがあると思うでしょう。

そう、実はこれもVANの造語マジックで作り上げられた言葉です。

 

東海岸IVYリーグの学生たちはイギリスはバラクーダ社のG9モデルのジャンパーを好んでいたようです。

それを真似てVANが日本で販売しようと思った際につけたネーミングがスイングトップです。

 

この造語はゴルフプレーヤーの多くが好んでG9モデルを着用していることに目をつけて、ゴルフプレーヤーのスイングと上半身に羽織るトップをつなげた造語です。

 

なんの違和感もなく今でもスイングトップと云っている人達がいることを思うと、そのネーミングのセンスとIVYファン以外にも定着させる影響力の強さに驚かされます。

 

 

 

フィシャーマンズセーター(ニット)といえば、あの厚手の編み込みのセーターとすぐにピンとくるでしょう。

しかしこれもVANの造語>_<

 

正式名称はアランセーターです。

イギリスのアラン島に伝わるニットで実はあの編み込みは日本の家紋と同じように全ての家々でオリジナルの編み込み模様があります。

 

それは主に生計を漁業に頼っていたアラン島では荒れ狂う海で海難事故も多かったようです。

その際漂着したセーターの模様で本人確認が出来るようにとの生活の知恵だったのです。

 

VANは考えたのでしょう、アラン島と云っても日本ではよく分からない。

そこで漁師のフィシャーマンを冠したニットにすることで本来の意味からも外れず日本人にも馴染みやすいネーミングにした訳です。

 

 

期待もしないで検索してみたら驚くべき画像を見つけました!

BOBBY BARNON...通称BB

 

これは僕が社会人一年生の際にお世話になった会社のBritish tradのブランドで、VAN OBの方が立ち上げたブランドでした。

30年以上前、僕は上から下までこのブランドに身を包み毎日のように都内のメンズショップを営業していました。

 

このBB、なかなかいい服作りをしていてウールは鐘紡の18番フランネルにこだわり縫製やディテールも凝った作りをしていました。

その結果プライスゾーンもそこそこで、30年以上前でウールのシングルのブレザーが39000円、トラウザースが18000円、スーツは50000~100000円の間でした。

 

そして社販で半額以下で購入できたのですが僕は常に売り掛けが50万円以上あり、毎月売掛け金の10%が給与天引きでしたので常に5万円以上引かれていた訳です、23、4歳の若造の分際で>_<(笑)

 

 

 

 

 

VAN社に入ることもIVYルックを続けることもなく、あれから30年以上が過ぎてしまいました。

 

しかしVANが今の自分の価値観に少なからずの影響を与えいることは明確に自覚症状があります^ ^;;

僕にとってVANAppleは洋服やコンピュータを作った会社でなく、洋服やコンピュータを通して「文化」を作った会社です。

 

今回men's shop KAWAMURAさんを見て、「変わるもの」と「変わらないもの」を感じたような気がします。

「文化」って変わらなんですよね^_<