落語教育委員会

今年は去年以上に落語にのめり込む予定でいます(笑)
寄席も楽しいですが、やはり一人当たりの持ち時間が短い。まあ、いってみればお試し、美味しそうなリストランテを見つけた時の、とりあえずランチでシェフの腕前確認と同じようなもんでしょう、寄席は。

でも、そこでこれなら間違いなしとなったら、アンティパストからドルチェまでのフルコースを楽しみたくなるのが人情というもの。
落語なら、それが独演会、二人会、三人会という形式のものになります。

今回は御贔屓の喬太郎に、これまた「ただ今の取り組みについてご説明申し上げます」でおなじみの歌武蔵。なかなか芸達者で有名な兼好とくれば、いかない手はないってもの。

2月1日有り余る有休休暇の午後休みをもらい、会場の亀有まで家内と出かけました。



初めての地 亀有

亀有といえば。。。人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」通称「こち亀」の舞台として有名な街。
実はお恥ずかしながら?こち亀という名称は知っていても、一度も漫画をちゃんと読んだことがなく、亀有という街も今回初めて降り立ちました。

だから落語の会場が亀有リリオホールであることは確認しましたが、亀有=こち亀の図式が頭に浮かばず、駅に降り立って駅前に、やや鈍く輝く金色?のこち亀の主人公、両さんをの銅像を見つけて初めて、ピン!ときた次第です。



晩御飯は中華そば

微妙なんですよね、夜の公演は。
昼だと夕方には終わりになりますから、そのあとゆっくり晩御飯を楽しむことが出来ます。

 

ただ夜の部はおおよそ18時から18時半の開場、19時開演となります。となるってーと18時半にまでには腹ごしらえをしておかなくちゃいけねぇ(落語調)
ところが、ランチをやってる店も夜だけの営業の店も大半が18時頃からの営業になり、どうにも時間が合いまあせん。

 

でも、せっかくの初めての土地ならば、なるべくそこで評判のいいものを口にしたい。。。

で、今回見つけたのが僕も家内も大好きラーメン。店名が振るってます「中華そば 敦」僕たち二人揃ってラーメンよりも中華そばという響きに反応します。

 

 

 

家内はこの店一番の売りらしい、中太自家製麺で鶏と豚から出汁を取った中華そばを、僕は同じ自家製麺ながら細麺で、煮干しそばを注文しました。

煮干しそばは、よくある煮干し全面押し出しの灰色のようなスープのものとは違い、数あるラーメンの方向性の中、我が家のセンター、永福町大勝軒に近い、澄んだ煮干し風味のスープがかなり好印象。

麺もちじれ細麺という、僕の最も好きなタイプのもので一発合格でした。一つ難点?を言えばスープの量が少ない。永福町大勝軒のように溢れんばかりのスープに包まれているラーメンが好きなのです。

途中、家内の醤油ラーメンと取り換えて味見してみましたが、煮干しほどではないにしても、これはこれで美味しいラーメンでした。特に自家製中太面が歯ごたえもありいい感じでしたね。
家内曰く「スープ単体で飲んでみると、そんなに美味しいと思えないけど、麺と一緒にラーメンとして食べると美味しいという、少し不思議なラーメン」とのこと。

でも、どっちも美味しかったですよ、ご馳走様でした。

 

 

会場のリリオホールは駅前ビルの9階でした。
19時の開園前のホールは高齢者の同窓会状態で、どこを見ても高齢者だらけ。
まあ相手も僕を見て「いい加減の歳だな」と思ってるんでしょうが(笑)

 

 

ホールでは今日の出演者や落語にまつわるグッズを販売していました。
喬太郎の自叙伝のような本がありましたので、思わず手に取ってみたのですが、文字が細かい、細かすぎる。

いったい彼は自分の支持層を何歳世代だと思っているのでしょう。メインマーケットは明らかに後期高齢者を含む高齢者、年金世代です。
百歩譲っても年金お達者俱楽部予備軍です。ここにつきものは膝の痛みと腰の痛みと老眼。
この細かさは老眼鏡をもってしても無理。ハズキルーペなくして読破は無理です。

そんなことで購入は差し控えました、ハイ(笑)

PS
書籍の横には500円で自筆サインいりのブロマイドも販売していました。
やっぱり、彼は彼自身についてマーケティングし直した方がいいかも。
キョンキョンと呼んでくれるのは、喬太郎が目指す粋な女性の層ではなく、「その昔」粋な女性だった層なのです、ハイ(笑)
喬太郎のブロマイドが売れたとしても、冥途の土産に一枚でもという、それはそれは貴重な、天然記念物級の御仁でしょう。

 

 

開演 落語教育員会

ちょっと驚きました、幕が上がると歌武蔵は着物に羽織姿ながら、喬太郎は妙な制服風の私服、兼好は着物は着物ながら、江戸時代のどこぞの小僧の風体。

どうも落語教育員会では初めに小芝居があるようです。

今回のあらすじは老人ホームの慰問に来た落語家、これは歌武蔵が担当。その落語家にギャラを払う役場職員の役を喬太郎が、喬太郎の部下役を兼好が担当したのですが、この小芝居が大笑い。

単純に落語家へのギャラを振り込む、指定金融機関の口座番号を聞き出すだけのことなのですが、喬太郎のおふざけっぷりが半端ない。正直この小芝居を2時間観てもいいかなと思える出来でした。

歌武蔵が口座番号を伝えてる最中に喬太郎の携帯電話が鳴り中断し、また一から尋ねる、伝える携帯が鳴る。。。の繰り返しの果てに、歌武蔵がぶち切れていう

「口座(高座)を聞くときは携帯を切れ!!!」が落ち。

なかなかの洒落っぷりに思わず、唸って拍手をした次第。

 

ちなみにこの小芝居にも演目があるようで「敬老会謝礼編」とのことです。

 

 

 

前座の柳家小太郎の演目、「千早振る」の後出てきたのは三遊亭兼好
枕でやたら楽しい歌舞伎ネタで盛り上げるだけ盛り上げて、話始めたのが「七段目」

この落語は初めて聞きましたが、芝居狂いの若旦那と同じく芝居好きの丁稚の話。
これがなかなかの熱演で、ググっと引き付けられました。

三遊亭兼好は結構芸達者で面白いということは知ってはいましたが、過去に寄席で一度もあったことがなく、今回がお初でした。

まあ喬太郎が三人かのメンバーとして選んでるくらいなので、その面白さは折り紙付きでしょうが、予想を超える芸に大拍手でした。

 

 

さて歌武蔵。
どうも落語以上に今話題になってるのがその結婚

toruiwa0514.blog.fc2.com

のようです。今回も兼好と喬太郎に枕でいじられてましたね。でも結構なことです、いい話、粋な話じゃないですか。

さて歌武蔵の演目は「家見舞い」何度か聞いたことのある演目で、好きな演目の一つです。

引っ越し祝いに金のない弟分が肥溜め瓶を、あたかも水瓶のように祝い品として持っていき、そこでその肥溜め瓶の水を使った料理を振舞われるという噺なのですが、これが結構面白い、いやかなり面白い。

歌武蔵も若くて美人な嫁さんをもらって、もうひと踏ん張りの気持ちが強くなっているのでしょう、喬太郎が足のケガでできなくなってる分、体を張った芸が良かったですね。

 

 

 

主任(とり)は、待ってました!の柳家喬太郎

かれこれ半年ぐらい前からでしたかね。足を悪くして膝をつけないということで、講談で使う釈台を前に置き、胡坐で落語を始めたのは。

そのために喬太郎の真骨頂?体を張ったアクロバティック落語?が観れなくなったのは少し寂しいですが。その分上半身と、手の動き、顔の表情に磨きがかかったような。

今回の演目は「品川心中」でしたが、随所に喬太郎節を吹かせて、見るものを喬太郎ワールドに引き込んいきましたね。相変わらずの天晴!です。

いやはやあっという間の2時間。
心底笑わせてもらいました、本当に楽しかったです。お三人さん、ありがとうございます。

 

 

 

両さん、お世話になりました、ありがとうございました。
美味しい中華そばと、大爆笑の落語。落語はやっぱり下町が似合いますね。

またご縁があった時は、駅前で凛々しくお迎えしてくださいね。

 

 

PS

いまこのブログをアップしようとしてたら訃報を知りました。

寄席で何度かその芸を楽しませてもらった色物、紙切りの大家 林家正楽さんがなくなっというのです。

 

 

僕が知りうる中で紙切りを生業とする芸人さんは三人。その中でも、体をすこーしゆすりながら紙を切り、「この間変なお客様がいまして。。。」のネタは、独特のゆるーい間を作ってくれて、見てるだけでほっこりしました。

で、お題に即した完成品を見て、そのクオリティの高さに思わず、背もたれから背が離れるほどに驚くのですが、このギャップがよかったですね。

残念ながら我が家にある、寄席でいただいた紙切りの完成品は、二つとも正楽さんのものではありませんが、和室に飾ってあるその切り絵を見たら正楽さんを思い浮かべることでしょう。

今年の初笑いの1月6日の浅草演芸ホールでの顔見世興行が、林家正楽さんを見た最後になってしまいました。
どうぞ御霊の安ら感ことを心からお祈り申し上げます。合掌。