遠方より友来る

 

 

パリからようこそ

パリの星つきレストランでフレンチを修行している知り合いが、一年ぶりに日本に帰って来ました。

 

彼は僕の娘よりも若いのですが、本当にしっかりしています。

なによりも凄いと感じるのは、自分の行く道、進むべき道をしっかりと持っています。人生航路にぶれない羅針盤を持ってる感じです。

 

数年のスパンでパリ、日本の有名店で研鑽を積んでる彼。

白金のイタリアンを皮切りに、次にパリのビストロ。その後帰国してスパニッシュの名店、小笠原伯爵邸でスペイン料理のいろはを学んだ後、自由が丘のフレンチへ。

そして一昨年末かな?パリの星付きレストランに行きました。

 

その彼が一時帰国。

我が家に遊びに来てくれたのです。

 

 

 

彼との会話の切り口は勿論料理。

babarinaと三人で、出来立ての第二リビング、ルーフバルコニーで時間を忘れて会話が弾みました。

 

近況報告はそこそこで、僕も大いに関心のある料理関係の話で盛り上がりました。

 

彼は昨年末、イベント的にニューヨークで御一人500ユーロ、日本円だと6万円前後のフレンチフルコースの料理を提供し大盛況だったようです。

そこで世界の最先端がすべて集まるニューヨークの印象とパリとの比較を尋ねてみましたら、即答でパリのほうが断然良いとのこと。理由は食材が違い過ぎるとの答えでした。

 

今、彼がいちばん感心があるのが食材。

彼の言葉を借りると、全ては極力ビオ、オーガニックにすべきとのこと。フランスの食材、特に野菜は、世に言う野菜本来の味が格段に強いそうです。

トマトはしっかりした酸味のなかに感じる甘み、葉物であれば水っぽさよりも強い青くささがあるそうです。

 

そして、それらの素材本来の味をいかに上手く引き出すのかを常に考えているとか。

複雑な調味料のハーモニーや技術で、舌で感じる美味しさを求めるのではなく、素材本来の味を活かすために極力少ない調味料、あとは火入の温度と時間とタイミングなど、決っしてレシピには書かれない技術で勝負しているとか。

 

医食同源

今の身体は半年前に食べた物で造られている、ということを聞いた事があります。

 

この言葉で話しは過熱(笑)食材について彼の熱い思いを知る事になりました。いってみれば野菜は、各々の種類をとうして大地の養分、栄養素を食べてること、つまりは土を食してる訳です。だから土、土壌が大切だと。

 

日本は食材をすべて甘めに方向に持っていこうとしていると感じるという、彼の言葉が心に残りました。

 

 

 

野菜と同じ様に肉もフランスのほうが圧倒的に種類も多く美味しいそうです。

そういえばフレンチではうさぎも出ますからね^ ^;;

 

ただ魚は日本が美味しいそうです。

そこには地理的、文化的な背景が影響していると彼と僕の見解が一致。狩猟で肉食が一般的だったフランスと、仏教の国で殺生を良しとせず、肉食が定着しなかった日本の歴史的な背景は看過出来ない要因。

 

彼の素材を活かすための最小限の調味料での料理は、魚の美味しい国、日本で生魚を食す鮨という料理に通じるものがあるのかも知れません。

 

そんな彼の大好物が秋刀魚(笑)

フランスでも冷凍物を手に入れて塩焼にして食べてるそうです。

 

 

 

いつもより調味料控えめのランチ

夏休みになって朝昼晩の三食を毎日作ってる僕が、彼が遊びに来た翌日のランチで作ったのはイタリアン。

 

この日のメニューは茄子とカッテージチーズのポモドーロでパスタはカサレッチェ。サラダはレタスに、自家製のクレソン、スープセロリ、ルッコラをまぜて、ドレッシングはパッションフルーツジャムベース。

 

昨日の彼との話が影響したのかな?いや、意識しました^^;;

定番のトマトソースへの調味料、具体的には塩、砂糖、赤ワインの分量があきらかに抑え目でしたし、蜂蜜に至っては使ってません。

 

その分、いつもよりもトマトの酸味が立ったポモドーロでしたが、そもそもトマトは甘味より酸味が優ってるもの。

自分の好みの味は大切ですが、時には食材本来の味を楽しむことも大事だなと思いました。

 

いつもよりも少しトマトの酸味がきいたポモドーロ。

こういうのもいいですね。

 

 

結局は価値観、思想、生き様

彼は若いのにホント、しっかり者です。

 

沢山の会話の中で、建築やインテリアの話に及んだ際に話題がウォールレスの第二リビング、そう、ルーフバルコニーになりました。

babarinaが、このリビングを作ってから僕のガーデニング好きがますます高じたことを話すと、彼は言いました。

 

「いや、〇〇(僕)さんはガーデニングが好きなんじゃないと思いますよ。この空間が好きなんです、目指す空間に草花や樹木が必要だから、そうしてるんだと思いますよ」

 

自分でも明確にはわからなかったことを言い当てられてハッとしました^ ^;;

正にその通り、僕はこの空間、この雰囲気が欲しかったのです。

 

彼は続けました。

「もしガーデニングが好きなだけなら、もっと多くの種類の草木を育てていいるはず。この、ゆとり、空間的な広がりはなくなっていたはずです」

 

 

 

 

彼の料理、僕のインテリア。

全ては自分の感性、価値観を表現する手段なんですよね。

 

互いに手段、方法は違っても、自分の中で明確にありたいものを持っているという点では同じです。

 

たかが料理、されど料理。

たかが住居、されど住居。

そして

たかが洋服、されど洋服。

 

仏の教えでは、こだわらない心の大切さを説かれます。

しかし、日々の生活の中で何かにこだわりを持つ、探求する、極めるという姿勢は、自己完結し人様に押し付けないのであれば大切なことの一つではないでしょうか。

そのこだわりから人となりが見えてもきます。

 

一期一会

日々是新

 

会話の中から彼から教わったこと、もらった刺激を糧に、より一層日常を丁寧に、楽しくしたいと思いました。

 

 

 

PS

僕が彼に彼のような息子が欲しかったから養子縁組はどうだい?と振ると、よく言われますから早速両親に相談してみますというウイットに富んだ返しのできる彼^ ^

 

お互い根っこはラテン系?!(笑)